プラスチック問題(第2報)

環境省中央環境審議会プラスチック資源循環戦略小委員会が、平成30年11月13日に開催され、今後の「プラスチック資源循環戦略(案)」について審議がなされました。戦略案では、その基本原則を「3R+Renewable(持続可能な資源)」とし、重点戦略としてプラスチック資源循環、海洋プラスチック対策、国際展開及び基盤整備を進める今後の戦略展開の方針について示されています。具体的には、ワンウェイプラスチックの排出抑制目標、使用済みプラスチックの熱回収等による100%有効利用、プラスチックの再生利用の倍増、バイオマスプラスチックの導入のほかレジ袋の有料化義務付け等が盛り込まれています。今後は、パブリックコメント(意見公募)をした上で、年明けの決定を目指しています。企業にとってもプラスチックに関連する環境対策は生存をかけたものとなりつつあります。
戦略案の概要を紹介します。

1.プラスチック資源循環戦略(案)

(1)基本原則「3R+Renewable(持続可能な資源)」

ワンウェイプラスチックの削減と循環利用、カーボンニュートラルであるバイオマスプラスチックの最大限使用、プラスチックの海洋流出防止と適切な回収推進による海洋汚染の防止、国際貢献等を基本原則とする。

(2)重点戦略

1)今後の戦略展開

(リデュース)

2030年までに、ワンウェイのプラスチック(容器包装等)を累積で25%排出抑制する。(基準年の明記なし)

(リユース・リサイクル)

2025年までに、技術的に分別容易かつリユース又はリサイクル可能を目指す。

2035年までにすべての使用済プラスチックを熱回収も含め100%有効利用する。

(再生利用・バイオマスプラスチック)

2030年までに、プラスチックの再生利用を倍増する。

2030年までに、バイオマスプラスチックを最大限(約200万トン)導入する。

2)プラスチック資源循環

①リデュース等の徹底

レジ袋の有料化義務化(無料配布禁止等)をはじめ、無償頒布を止め「価値づけ」をすること等を通じた消費者ライフスタイル変革の促進、ワンウェイプラスチック製品の紙やバイオマスプラスチックへの代替促進、軽量化等の環境配慮設計やリユース容器・製品の利用促進、普及啓発等。

②効果的・効率的で持続可能なリサイクル

資源化のために必要な分別回収・リサイクル等の徹底推進、持続可能な分別回収・リサイクル等を適正に推進のあり方検討、漁具等の海域で使用されるプラスチック製品の陸域での回収の徹底、可能な限りの分別・リサイクル等の取組推進。

事業者や地方自治体等多様な主体による適正な店頭回収や拠点回収の推進、最新のIoT技術も活用した効果的・効率的な回収方法の検討。

持続的な回収・リサイクルシステムの構築、適切な資源循環体制の構築、公正かつ最適なリサイクルシステムの検討等。

③再生材・バイオプラスチックの利用促進

バイオプラスチックの低コスト化・高機能化、グリーン購入法等に基づく国・地方自治体による率先的な公共調達、リサイクル制度に基づく利用インセンティブ措置、低炭素製品としての認証・見える化、消費者への普及促進等の総合的な需要喚起。

プラスチック中の化学物質の含有情報の取扱い検討、整理。

燃やさざるを得ないプラスチックの原則としたバイオマスプラスチック使用への取組。

その他、バイオプラスチックの生分解性プラスチックの分解機能の堆肥化、バイオガス化等や「バイオプラスチック導入ロードマップ」の策定等。

3)海洋プラスチック対策

プラスチックの陸域から海への流出抑制、2020年までにマイクロビーズの削減徹底による海洋への流出抑制、ペレット等の飛散・流出防止徹底。

地域の海岸漂着物等の回収処理の推進。

我が国近海沿岸における漂流・漂着・海底ごみの実態把握のためのモニタリング・計測手法等の高度化、世界的な海洋ごみの排出削減等。

4)国際展開

途上国での海洋プラスチックの発生抑制等地球規模での実効性のある対策支援として、

・分別収集システム、法制度等のソフト・インフラの導入

・リサイクル・廃棄物処理施設等のハード・インフラの導入

・廃棄物の適正な埋立指導や現地の人材育成等のキャパシティビルディング

・プラスチック代替品やリサイクル技術等に関するイノベーション・技術導入

等地球規模のモニタリング・研究ネットワークの構築等。

5)基盤整備

分別協力体制や優れた環境技術等の強みを最大限生かした効果的・効率的で持続可能なリサイクルシステムの構築。

資源循環の担い手となる動脈から静脈に渡る幅広いリサイクル・資源循環関連産業の振興・高度化、国際競争力の強化や、これらの産業における人材の確保・育成等を多面的な支援、振興。

技術や消費者のライフスタイルのイノベーションを促すため、

・再生可能資源であるバイオマスプラスチック、紙等の代替製品の開発や転換

・リサイクル困難製品の易リサイクル化や革新的リサイクル技術の開発

・IoTやAI等の最新技術を活用した次世代・ベンチャービジネスの育成

・あらゆる場面へのシェアリング・エコノミーの展開

等を総合的な支援や後押し。

マイクロプラスチックの人の健康や環境への影響、海洋への流出状況、流出抑制対策等に関する調査研究等の推進。

海洋プラスチック問題等の解決に向けたあらゆる普及啓発・広報を通じて海洋プラスチック汚染の実態の正しい理解を促すための不必要なワンウェイのプラスチックの排出抑制や分別回収の徹底。

海洋ごみの発生防止に向けたワンウェイ等の“プラスチックとの賢い付き合い方”を進める「プラスチック・スマート」の展開と基盤づくり。

プラスチック生産・消費・排出量や有効利用量等のマテリアルフローの各主体と連携した整備。

「ESG投資」(環境(Environment)・社会(Social)・企業統治(Governance)といった要素を考慮する投資))や「エシカル消費」(人や社会、環境に配慮した消費行動)において、企業活動を評価する適切な情報基盤の整備等の検討と実施。

国際協力機構(JICA)、国際協力銀行(JBIC)、アジア開発銀行、地方自治体や我が国の企業等とも協力した我が国の有する知見・経験や優れた環境技術、リサイクルシステムや廃棄物発電等の世界各地へのソフト・ハードのインフラ・技術、人材育成等を含めた総合的な環境インフラ輸出の展開等。

http://www.env.go.jp/council/03recycle/y0312-04b.html

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